棚橋弘至とKUSHIDA、後楽園ホールと最後の2日間

棚橋弘至,KUSHIDA,後楽園ホール

 

 

新日本プロレスを退団した「タイムスプリッター」KUSHIDA。
8年間という月日、ライオンマークを背負って新日本ジュニアを過ごした彼。振り返れば、KUSHIDAがいなかったらジュニアの現在のような隆盛はなかったように思います。それだけジュニアに人一倍の思いが。いつかの彼の言葉。

 

「両国国技館にお連れします」

 

それが今年のスーパージュニア優勝決定戦で実現へ。「スーパージュニア優勝決定戦両国国技館」は、獣神サンダーライガーが優勝した1992年以来の出来事。素晴らしい。

 

KUSHIDAが築き上げてきたといっても過言ではない新日本プロレスジュニア。それは間違いなくタイムボムが引き継いでいくのでしょう。

 

そんな彼の新日本プロレスラスト。新日本プロレスの両輪としての「ヘビーの棚橋弘至」「ジュニアのKUSHIDA」の関係性。巡り巡って、最後の最後に二人が相まみえるというのは、内藤の言葉を借りるならばデスティーノといったところか。二人の最後の2日間を追ってみます。

 

 

2019年1月28日・後楽園ホール「棚橋&KUSHIDA」

二人として最後のタッグ結成となったこの日。

 

■タッグマッチ 30分1本勝負
棚橋弘至&KUSHIDA
vs
ジェイ・ホワイト&外道

 

現在進行形の新日本プロレスの戦いであり、対戦相手は今最も勢いがあるジェイ。感傷に浸ることを許さないタッグマッチが二人にとって最後の同じコーナーでの「棚橋・KUSHIDA組」。二人を見ているだけで涙腺が緩んだ正規軍ファンは少なくないでしょう。

 

試合は棚橋弘至のハイフライフローで快勝。2月11日・大阪府立体育会館大会の防衛線に弾みをつけた格好に。
試合後、両者の意識は翌日のシングルマッチに。ビンビンに意識しまくったFace to Face。それは挑発をするでもなく、何か特別な感情を感じる不思議なにらみ合いに。

 

棚橋弘至,KUSHIDA,後楽園ホール

 

試合後のコメント
KUSHIDA

棚橋さん、最後のタッグ、ごっちゃんした! プロレスラーの定義は、人それぞれあると思いますけど、個人的な見解は、プロレスに人生かけている人が、プロレスラーっていうんだと思う。ラスト1試合になりました。最後、喜怒哀楽全部、詰め込んで・・・8年間、体に残るダメージもありますし、それ以上に思い出、自分が強くなってきたという、体に残る何よりの手応え、こういうのもありますんで、それを最後、明日以降、お守りにして戦っていきたいと思います。振り返ると8年前、ここ後楽園ホールに、僕をプロレスラーとして一人前にさせてくれると言って、来てくれました。あの時の恩、あの時の感謝は、忘れません。棚橋さんが、8年前、何歳だったかって言ったら、35歳。今のKUSHIDAの歳なんですよね。そこから8年間、ずーっとその背中を、棚橋さんのそばで、バスの隣で、見てきました。ここから8年間、次に棚橋さんの歳になるまで、どういうプロレスラーでいたいか、プロレスラーがプロレスラーであるために、KUSHIDAがプロレスラーとして命を授かったからには、プロレスラーとしての命を、全て使い切りたい。そう思ってます。明日はすべて出し切ります」

棚橋

「俺は、いつも、見送る側だから、見送られる方の気持ちは、正直分かりません。だから、何が理想的な送り出しなのかも、分かりません。・・・うなるかな。型にハマったことが嫌いなんでね。爽やかに、送り出す? そんな気持ちサラサラないと思うよ。だから明日は……ぶっ潰します!」

 

この二人の結末は一体−−−−

 

 

2019年1月29日・後楽園ホール「KUSHIDA新日本ラストマッチ

そして迎えたKUSHIDA新日本プロレスラストマッチ。正真正銘、初激突の棚橋弘至とのシングルマッチ。個人的に言うなれば

 

「IWGP無差別級選手権試合」

 

ともいうべき一戦。正規軍としての両輪。お互いベビーフェイス。なので「ザ・正統派ファイト」になるかと思いきや、そこは棚橋弘至。場内の雰囲気を敏感に感じ取って、あえてヒール寄りな戦い模様。そうすることにより、KUSHIDAとの「どう戦うべきか」の姿勢が浮き出てきます。

 

以前に棚橋選手がPodcastで語ってましたが、2000年代に新日本プロレスに参戦・現在WWEで裏方として働いているジャイアント・バーナードに「タナ、プロレスは耳でするものなんだよ」と言われてたくだりを思い出しました。「その耳」で、観客の雰囲気を感じ取り前半中盤とヒールファイトを展開。この辺りのギアチェンジはさすが。

 

試合そのものは、メイ社長言っていた「二人で会話している」ような重厚なグラウンドの展開。それはきっと野毛道場でのスパーリングのよう。何かを語り合い、何かを確かめ合うような腕と足の取り合いに、見ているこちらはドンドン引き込まれました。

 

と同時に、どこかでこの重厚な空気感の試合、最近見たなぁという既視感。それは、昨年・2018年6月3日のあの試合。

 

 

「棚橋弘至vsKUSHIDA」と「KUSHIDAvs高橋ヒロム」とテキサスクローバーホールド

その既視感とは、2018年「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」6月3日最終公式戦の「KUSHIDAvs高橋ヒロム」。あの試合、最後はヒロムが「D」でKUSHIDAを締め落としてフィニッシュ。そこに至るまでの重厚なグラウンドと感情のぶつけ合い。

 

その試合とこの日の棚橋vsKUSHIDA。何かが2つの試合がシンクロした気分に。ひょっとしたら、遠回しながら、ヒロムへのメッセージでもあった?などという見方をしてしまったりと。無粋かもしれんせんが、そんなこともぼんやり想像が届いてしまう二人の「IWGP無差別選手権試合」に酔えてしまうのです。

 

 

最後のフィニッシュ。

 

棚橋弘至,KUSHIDA,後楽園ホール
(写真はTwitterからお借りしました)

 

テキサスクローバーホールド。ここぞの時の腰を落としての渾身の絞め上げ。気づけば、タナが泣きながらのテキサス。抑えきれない感情はあふれ出た瞬間、KUSHIDAが音を上げ、ギブアップ。

 

二人によるひとまずの「最初で最後のシングルマッチ」に幕が下りました−−−。

 

 

KUSHIDAリング上から最後の挨拶

棚橋さん、最後の最後までプロレスラーとして最高に格好いい背中、勉強させていただきました。ありがとうございました。
8年間、この8年間の出来事。新日本のレスラーとの戦い。巡業バスのこと。いろんな風景。そして、今日のお客さん。未来永劫、絶対に忘れません!(場内拍手)。これを最高のお守りとして、旅してきます。いままで本当にありがとうございました!行ってきます!

 

棚橋弘至,KUSHIDA,後楽園ホール

 

棚橋弘至,KUSHIDA,後楽園ホール

 

KUSHIDA選手、行ってらっしゃい!!

 

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